いいづな歴史ふれあい館/展示デザイン
長野県飯綱町にある築27年の「いいづな歴史ふれあい館」の展示リニューアルに伴い設計及び工事一体の業務として公募型プロポーザルが実施され、コプレイスアーキテクツ+TANK+ツチクラ住建の3社JVチームが最優秀に選定された。旧牟礼村と旧三水村の合併から20周年となるこのタイミングで展示内容を町内全域へ拡充することを主目的として、まちの自然・歴史・文化の魅力を住民と共に探求し・学び・発信するため展示内容の大幅なリニューアルを行うプロジェクト。展示計画では、町内から発掘された貴重な遺跡や先人が暮らした生活の知恵など、来館者の「共感」を生む展示手法を模索した。展示ケースに使用したOSB合板(木材として使うことが難しい木材から切削された長方形の薄い木片を板状に重ねて高温圧縮成型した環境負荷低減材料)の木片が積層された意匠は、歴史を重ねた展示施設に親和性が高く、世界観も共有しやすいと考えた。OSBへの塗装とサンダー掛けを繰り返すことで磨き上げられた繊細で力強い展示ケースとなった。また、国立や県立博物館のような興行とは違い、地域文化をアーカイブすることを主眼とされたこの建築で出会う一つひとつの展示物を見ていると当時この地で暮らした先人の営みが想像される。地元小中学生が自分のまちの歴史に触れ、その奥行きを体験することは帰属意識を高めることにも繋がる。畳敷きの座れる小上がりスペースを設けたり、既存展示台を活用した回遊性のある展示ケースによって、パブリックな緊張感が緩和されるように工夫した。おじいちゃんおばあちゃんが孫を連れて昔話をする際には茶の間のような場所にもなってほしいと考えた。
2024.09~2025.03
計画敷地 : 長野県上水内郡飯綱町大字牟礼1188
発注者 : 飯綱町
主要用途 : 博物館
敷地面積 : 2,900.01㎡
建築面積 : 622.38㎡
延床面積 : 1,144.88㎡
改修面積 : 596.03㎡(2F常設展示+企画展示+3F常設展示)
受託者 : コプレイス+TANK+ツチクラ共同企業体
設計監理 : 株式会社コプレイスアーキテクツ / 小松剛之+戸井達弥
展示什器 : 株式会社TANK / 柴田祐希+大沼千尋+中尾文哉
内装工事 : 株式会社ツチクラ住建
グラフィック : 山口日和
写真撮影 : 西優紀美
© Ko place architects